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医学博士
・日本内科学会 認定医
・日本呼吸器学会呼吸器専門医
・日本アレルギー学会
アレルギー専門医
今回はアレルギー性疾患の中でも最もポピュラーでお困りの方も多いアレルギー性鼻炎について考えます。耳鼻咽喉科的疾患であるのと同時に、気管支喘息などの呼吸器疾患とも密接に関係していると言われています。日本人の30%以上が罹患している国民病ですから、皆様の中にもアレルギー性鼻炎で悩んでおられる方は多いのではないでしょうか。
アレルギー性鼻炎は、主に埃に含まれるダニによって引き起こされる「通年性」(1年間を通して鼻症状のあるタイプ)と、花粉によって引き起こされ特定の季節に関係して生じる「季節性」の2つがあります。花粉症で有名なのは、春先に症状が悪化するスギやヒノキや、ブタクサによって晩夏から秋にかけて発症するタイプです。その他に、イネ科の植物やある種のカビなどが原因の場合もあります。
私事ですが、私は小学生の頃から春先に症状が悪化するけども1年間を通して症状のある通年性アレルギー性鼻炎で苦労してきました。症状は当初は春先がメインでしたが、小学校6年生の時に父親の仕事の関係でアメリカに1年間住んだ時にアメリカの花粉症の主原因であるブタクサにも感作されてしまったためか、晩夏から秋にかけてもくしゃみと鼻水が止まらなくなりました。その頃から、服やズボンのすべてのポケットに持ち歩けるだけ大量のティッシュペーパーを入れておかないと心配で外出できない程でした。中学生の頃は、勉強しようとしても鼻症状がひどくて集中できず、1日に1~2箱くらいのティッシュペーパーを使う程で、しかも鼻を何度もかむことにより鼻の入り口が切れて、それが刺激になってくしゃみと鼻水が止まらなくなるという悪循環を来たしました。人間の鼻からどうしてこんなにも大量の分泌物が産生・分泌されるのか不思議でなりませんでした。種々治療を試しましたがなかなか改善せず困っていたところ、鼻に噴霧するステロイド吸入薬が使用可能になるというので早速試したところ、噴霧後から症状が劇的に改善しました!子供心にも驚愕し感動したのを覚えています。その後、症状が強くなると今でも噴霧しています。また、アレルギー症状を抑える抗アレルギー薬も予防的に内服して、快適な毎日を送れるようになりました。
アレルギー性鼻炎の症状は、「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」です。結膜炎を合併した方は目のかゆみや流涙もあるでしょう。くしゃみは、主にヒスタミンと呼ばれる体内物質が鼻粘膜の知覚神経である三叉神経を刺激し、これが延髄にあるくしゃみ中枢に伝えられて生じます。鼻水は、くしゃみ反射に同期して反射性に副交感神経中枢の興奮を起こし、鼻腔に分布する副交感神経からアセチルコリンが遊離されて分泌されます。さらに鼻づまりは、鼻粘膜血管のうっ血と同時に血漿漏出による美鼻粘膜の間質浮腫によります。これらの症状は、ダニ、スギ・ヒノキ・ブタクサ花粉などの抗原(アレルゲン)が鼻腔から侵入することにより自分の体内に存在するIgE抗体(外敵と戦う兵隊のようなもの)と交戦状態になり、アレルゲンをやっつけるだけで終息してくれれば症状は出ないのに、IgE抗体が必要以上に大量に作られてしまい、今度は自分自身を傷つけてしまう結果に発症するのです。これがI型アレルギー反応です。アレルギー性鼻炎に限らず、アレルギー型気管支喘息やアトピー性皮膚炎も同様の機序で生じます。ちなみに、前述のIgEは日本人の石坂教授夫妻が発見されました。
治療法は、前述の私の体験談の治療がメインです。さらに、自宅の掃除機による掃除、カーペットやぬいぐるみなど埃が溜まりやすいものは置かない、ダニが寄生しやすい犬や猫などのペットにも要注意で、最低限寝室には入れない・入浴させるなどの日頃の注意が必要ですが、特に季節性アレルギー性鼻炎の方は、花粉飛散が始まる2週間くらい前から抗アレルギー薬の内服を開始し、花粉飛散期間内は継続すると発症予防と治療の両方が可能です。噴霧用ステロイド薬は、症状がひどくなる時期は毎日使用します。
私が医者になるきっかけになったと言っても過言ではないアレルギー性鼻炎、たかがアレルギー性鼻炎、されどアレルギー性鼻炎です。私は内科医ですが、アレルギー学会専門医・指導医としてアレルギー性鼻炎患者さんも多く診させて頂いてきましたので、症状の強い方は是非当院にいらしてください。
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